新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
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わたしたちは、「温泉」と「旅館の想い」を箱につめこんだ。

会員のみなさまのお手元にはそろそろ届いている頃でしょうか。
itomaはいま、3施設様(奈良偲の里  玉翠桐谷箱根荘伊豆長岡温泉)にご協力をいただいて、会員様宛てに入浴剤を送付しています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大で、有無をいわさず「おうち時間」が増えました。きっと外にでて、旅行にだって行きたいし、大切なひとと自由に会いたいですよね……。世界中のひとがいま、なにかもがくように、なんとか生活へ潤いを持たせようと躍起になっているように感じます。そうしていないと、自分がだめになりそうな気がするからではないでしょうか。

なにかを諦め、疲れ、それでも前向きにと自分を鼓舞しておられるみなさまに、バスタイムくらいは、そんな途方のないストレスから少し「お暇(いとま)」できる時間にしていただけたら嬉しいです!

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さて、今回わたしたちが「旅館様とともに会員様になにかできないか」と考えたときに、まず思い浮かんだのが、箱根・強羅の桐谷箱根荘さんでした。
入浴剤を会員様にプレゼントしたいと桐谷箱根荘さんのご主人に伝えると、「素晴らしい!ぼく自身も直接お客さんに送りたいと思ったくらいです」と、ふたつ返事で協力を了承してくださいました。

実は桐谷箱根荘さん、今回のコロナウイルスにとどまらず、ここ数年で、いくつもの難題に直面してきました。その局面で常に「ピンチのときこそ、チャンスを考える」逆転発想のスタンスで立ち向かいつづけます。こんな時だからこそ知ってほしい、桐谷箱根荘さん(以下敬称略)のものがたりをご紹介させてください。

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「ぼくはそんなにかっこいい人じゃないから……」ご主人のこんな言葉から、取材は幕を開けました。

桐谷箱根荘の戦いのはじまりは2015年。火山帯である大涌谷の噴火警戒レベルが3に引きあげられたことでした。噴火警戒レベルがあがり規制区域が拡がれば、大涌谷はもちろん、周辺観光スポットは閉鎖を余儀なくされます。大涌谷にほど近い強羅では、旅館営業はできましたが観光客が激減してしまいました。

2015年5月 火山噴火警戒レベル3へ引き上げ
2019年5月 火山噴火警戒レベル2へ引き上げ(2回目のレベル2以上)
2019年10月 火山噴火警戒レベル1へ引き下げ
2019年10月 集中豪雨による一部パイプの崩壊、箱根登山鉄道通行停止
2020年    新型コロナウイルス流行
(レベル2以上で大涌谷火口周辺への立入りが禁止される)

規制区域内に位置する桐谷箱根荘にとっても当時は大きな打撃でしたが、「次にレベルが引き上げられたときの勉強だ」と魂を奮い立たせ、警戒時期でも安全に営業できる方法の準備をすることにしました。

そして2019年10月、警戒レベルを引き下げる決定がくだされ、箱根の街が歓喜に湧いていた矢先に訪れたのが、台風19号の集中豪雨でした。

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この台風19号で、桐谷箱根荘は源泉を供給するパイプが流されてしまいました。自慢の「にごり湯」は山間に漏れつづけ、湯船には水道水を沸かすしかありません。
源泉100%かけ流しの温泉が最大の売りと感じていたご主人は、温泉がでないことを公表しない旅館もあるなか、予約されているお客さまに1件ずつ電話をし、事実を伝えて謝罪しました。それでも温泉を楽しみに来られるお客さまのために、パイプが復旧するまでの10日間、近くの宿から温泉を借り、時間限定で愉しめるようにしたのです。

「本当のことを言ってキャンセルもあったけど、それでも真っ当にやってよかったんだよ。ウソをつけばお客さまを裏切ることになる。」と当時を振り返ります。

そしてさらに追い打ちをかけるように流行する、今回のコロナウイルス。「どうにか集客しているところも、それでいいと思う。ただぼくはやはり来てくださいとはいえない」と言います。ただ、今はお客さまにどう知ってもらうかが決まる、大切な種まきの時間だと続けました。

「いまうちのにごり湯を、商売にならなくたって配り歩くことも考えている。今回itomaで入浴剤をプレゼントするのも、僕がお客さんだったらこの苦しい状況でしてもらえたことって嬉しいと思うの。お客さんに使ってもらって、コロナが収束したときにまた行きたいって選んでもらえるかもしれない。(ご主人)」

ピンチこそチャンス」——いつも非常事態のなかこう繰り返し、誠実で前向きなご主人の心構えはどこからやってくるのか、わたしたちはずっと気になっていました。

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「観光業の未来は、人口が減って国内旅行客が減少すればインバウンドに頼ることになる。それに聞いた話によれば、VRで旅行が楽しめるようになっているんだそう。そういった変化にどんどん対応しなければ生き残れないんですよね。選んでもらうために選ばなければいけない」
こう話すご主人のことばの端々には、いつも従業員を思う姿が垣間見えました。

「うちはチェーンじゃなく家業だから、ぼくはサラリーマンじゃない。じぶんの行動が宿のすべてになるし、行く末に責任をとらなきゃいけない。」
選択を迫られるとき、桐谷箱根荘の看板と従業員を同時に守っていかなくてはいけないという、主人としての「自覚」がそう突き動かすのでした。

旅館経営は地場産業ともいわれ、伝統が息づいていればいるほど覆しにくいもの。しかしながらご主人は、いつも世の中の「流れ」を、冷静に見つめているようにみえました。激流に飲み込まれそうな流れに抗う方法を、変革の流れには遅れることなく乗りかかる術を、手さぐりで見いだします。

他人のやり方を決して否定せず、謙虚に、それでも確実に、家業である旅館が生き残る道を模索するひたむきな姿勢が、長年愛される桐谷箱根荘の強さなのだと感じたのでした。

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最後に旅館文化の魅力を訪ねると、「旅館でしかできない文化体験とコミュニケーションが、変わらずあること」だと教えてくれました。

懐かしく落ち着ける日本の伝統文化、その魅力だけは変えないために、桐谷箱根荘は激流をうまく搔きわけ、守りつづけてくれています。

「韓国にいってオンドル、モンゴルではゲルに泊まってみたいように、日本旅館で浴衣を着るからいいのであって、畳のにおいがして、温泉につかって、仲居さんとあれやこれやと話して、朝は温泉卵割って納豆食って、ああ、これこれ。やっぱりいいな。と思えるのがいいんだ(ご主人)」

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この状況下にわたしたちは、ありがたいことにオンラインでつながれて、実体験に近いバーチャルな世界まで体感することができます。エネルギーを使わずにコトをこなせるほど、想像以上に世界が便利になってきていることに気づいてしまいました。けれども同時に、実体験でしか味わえない感動もまた絶対に存在することにも気づきました。

きっと旅館文化は後者であるとわたしたちは信じています。
いつか元気に、旅に出ましょう!


▼今回お届けした入浴剤について
現在入浴剤を、宿支援型ECサイトにて「おふろファンディング」のお礼としてプレゼントしています。ぜひ覗いてみてください!(詳細は後日発表いたします)

文・かりやゆり

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